うつ病にならない中高年の生き方とは?中高年に多い要因と対策を解説

人生100年時代となり、中高年といわれる40歳~50歳代は、まだまだ折り返し地点にいるといっていいでしょう。そして中高年世代は、仕事や私生活においても、さまざまな変化が起きやすい年代ともいえます。なかには、大きな問題や悩みに直面し、ストレスを抱えている方も多いでしょう。今回は、うつ病にならない中高年の生き方をテーマに、うつ病が中高年に多い要因とその対策について解説します。

1.中高年のうつ病の概況について

うつ病が中高年に多いといわれていますが、実際にどのような状況か、その概況について解説します。

1-1.うつ病の定義について

はじめに、うつ病の定義について解説します。うつ病とは、脳のエネルギーの欠乏により憂うつな気分が続く状態のことをいいます。そして、食欲や睡眠欲などが低下する身体的自覚症状を伴う場合もあるのです。悪化すると、仕事や家事、勉強などの社会的機能がうまく働かなくなり、日常生活にも支障をきたします。その病態は、症状の現れ方や重症度も人によってさまざまです。

1-2.中高年のうつ病の患者数

厚生労働省が2017年に行った調査によると、うつ病などの気分障害患者数の年齢別割合では、下記のような結果となっています。65歳以上の割合が3割以上と最も多い割合ですが、中高年といわれる40歳代と50歳代の年代を合わせると4割近くを占めており、非常に高い割合であることがわかります。

  • 20歳未満:1.3%
  • 20歳代:6.8%
  • 30歳代:12.9%
  • 40歳代:21.1%
  • 50歳代:18.7%
  • 60~64歳:7.6%
  • 65歳以上:31.7%

2.中高年にうつ病が多い要因とは?

中高年にうつ病が多い要因はさまざまありますが、ここではとくに大きな要因とされる3つの要因について解説します。

2-1.身体能力の低下や疾患の発症

中高年になると、個人差はあるものの、どうしても体力や精力が低下してきます。若い頃にはできたことができなくなったり、仕事やスポーツの面でもスタミナやスピード感、集中力が衰えてきたりします。そうしたことから自信喪失につながり、憂うつな気分を助長してしまい、うつ病の要因となりやすい側面があるのです。

また、これまでの生活習慣の蓄積から、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を発症しやすいのも中高年の特徴であり、こうした身体疾患が抑うつ状態を合併しやすい傾向にあります。女性の場合には、更年期障害などホルモンバランスを崩すことにより、精神的に不安定な状態になり、うつ病発症の要因となる場合もあります。

2-2.親や配偶者など身近な人との死別

40歳~50歳代の年齢は、親との死別や長年連れ添った配偶者との死別・離婚など、身近な人を失うような大きな環境変化が起きやすい年代となります。このような人間関係の変化に伴う喪失感などのストレスも、うつ病の大きな要因のひとつといわれています。

2-3.仕事上での環境の変化

中高年世代は、働き盛りを少し過ぎたあたりで、そろそろ定年も意識し始めるなど、ワーキングライフの後半から終盤にさしかかっている年代です。この年代になると、人によって仕事上で置かれる立場や役職、年収などにも大きな違いが出てくる頃となり、配置転換や出向、リストラ、昇進などさまざまな仕事上の環境変化が起きやすい世代といえます。

自分の思い通りになっていない状況に対する徒労感や、重責を担いきれずに過度なストレスに見舞われるなど、うつ病の要因となり得るさまざまな状況が考えられます。

3.中高年がうつ病にならないための対策

ここまで、中高年のうつ病の概況や、中高年がなりやすい要因について解説してきました。それでは、中高年世代がうつ病にならないためには、どのような生き方をしていけばよいでしょうか。ここでは、主な対策について4つ紹介します。

3-1.生活習慣の是正と運動機能や身体機能の維持

上述の通り、身体能力の低下や疾患の発症がうつ病の大きな要因となり得ます。日頃から健康に良くない生活習慣を是正することや、運動機能・身体機能を維持するための適度な運動を習慣付けることは、大切な予防対策となります。/p>

とくに身体活動や運動は、メンタルヘルス及び生活の質の改善に効果があることが認められており、国の基本方針としても国民の身体活動や運動量の向上が目標として定められているのです。具体的には、1日1万歩の歩数を理想とし、男性9200歩・女性8300歩を目標値としています。また、運動量においては、1回30分以上の運動を週2回以上かつ1年以上継続する人を、運動習慣者と定義付けして推奨しています。

3-2.社会やコミュニティへの積極的な参加

親や身近な人との死別など、人間関係の変化は、いわば避けられない運命です。そのため、こうした喪失感に直面しても、互いに支え合い、補充し合える社会やコミュニティに属していることが大切となります。

とくに中高年の男性には、職場と家族以外での人間関係を作るのが苦手な方も多く、地域のコミュニティやネットワークなどをもたない場合も多いといわれています。こうした状況が、身近な人を失った時の孤独感や喪失感を助長してしまうことにつながってしまうのです。日頃から、仕事や家族以外の依存先を作ったり、地域のコミュニティやボランティアなどに積極的に参加したりすることは、健全なメンタルヘルスに有効に寄与することが期待できるでしょう。

3-3.二分割思考をやめて心のゆとりをもつ

うつ病の原因には、ストレスなどの外的要因以外に、個人がもともと持ち合わせている先天的な素質が関係しているともいわれています。たとえば、勤勉・誠実・仕事熱心・几帳面・完璧主義などの性格の方は、うつ病になりやすい傾向があるとされており、なかでも「二分割思考」で物事を考えがちの方は注意が必要です。二分割思考とは、「0か100か」、「良いか悪いか」など、白黒はっきりと区別して両極端に物事をとらえてしまう発想のことです。

こうした思考では、仕事においても100点の出来でなければ失敗であると考えてしまいがちで、完璧を求めるあまり現実とのギャップに心も体も疲弊してしまうでしょう。また、自分と意見が合わない人を敵と見なしてしまい、孤立しやすくなります。ご自身の性格を変えることはなかなか難しいものですが、せめてもう少し肩の力を抜いてみましょう。70~80%なら合格点とする考え方を意識するのは、取り組みやすい対策として有効です。

3-4.他の人に相談する

うつ病は本人が自覚できないケースも多いのですが、主な症状としては、ひどく気分が落ち込む・食欲不振・眠れない・倦怠感などがよくあります。少しでもこのような症状に自覚がある場合や、深刻な悩みがある場合は、他の人に相談するのも有効な対策となります。症状が悪化してしまう前に、早めに相談してみましょう。もしも、職場や友人、家族などの身近な人に相談しづらい場合は、産業医や専門医、専門のカウンセラーなどに相談するのも、有効な選択肢となります。

4.まとめ

中高年世代は、仕事や私生活においてさまざまな変化が起きやすく、過度なストレスを受けやすい環境に置かれています。また、体力的な衰えや、疾患の発症などの健康面の不安を抱える方も多くいらっしゃいます。こうした背景から、うつ病の年代別患者数の割合では、中高年の年代が非常に多くなっているのです。

日頃から、生活習慣の是正や運動を習慣付けるなどの対策を取ると共に、地域のコミュニティやボランティアに積極的に参加するなどして、うつ病にならない生き方を心がけましょう。また、うつ病の予兆を感じたり深刻な悩みがあったりする場合は、他の人や専門医、専門のカウンセラーなどに相談するのも有効な対策となります。

池袋にあります「心の健康相談室」では、さまざまなお悩みのカウンセリングをお受けしております。経験豊富な専門のカウンセラーがお話を丁寧にお聞きし、楽になれる解決策をご一緒に考えるなど、心よりサポートをいたしておりますので、お気軽にご相談ください。

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